今後の掲載予定
【小説】薫と紗織の出会い
【設定】薫の戦闘スタイルや人間関係など補足
【設定】紗織のプロフィール
2013/04/29 (Mon)00:00
6
目をあけると、泣きそうな美花の顔が見えた。
「……かあさ」
「よかった、気がついたのね」
美花は薫を抱きしめ、席を切ったように泣き出した。
「なんだか、夢を見てた気がする」
よく覚えてないけどいい夢だった、とぼうっとしたままつぶやいた。
薫は舞台の脇に寝かされていたようだった。周囲には大勢の人が心配そうに薫を見守っており、目が覚めて良かったと胸をなでおろしている。
「薫くんが目を覚ましたって!?」
人ごみをかきわけて現れたのは村中だった。
「だいじょうぶかい?」
目線を合わせ、薫の顔をのぞきこむ。
呆けた目つきでうなずくと、村中は重々しく告げた。
「村永・月音さんがさらわれた」
「……え? 月姉が?」
冷水を浴びせられたように、頭がさえた。
「ちょっとあなた!」
「村の男たちが追ってるけど、彼らじゃ助けられない」
美花の抗議を無視して、村中はつづけた。
「しばらく雨がつづいたから、地面がぬかるんでる。足跡がくっきり残ってるから、見失うことはない」
「……ありがとうございます」
礼を言って、薫は美花の腕から抜け出した。
「薫? どうするつもり?」
「助けに行くよ」
驚いて止めようとする美花を押しとどめたのは、村中だった。
「お母さん、ここは薫くんに任せて」
「なに言ってるの!? 薫は小学生なのよ!?」
「母さん!」
髪を振り乱して抗議する美花を、薫が一喝した。
「これはぼくにしかできないことだから、どうか行かせて。上手く説明できないけど、ぼくなら大丈夫。それに、一人じゃない」
そう言って、かたわらを見る。
オンッ
そこには、勇ましく尾を振る狼の姿があった。
「え? 犬? いつの間に」
「犬じゃなくて、狼なんだけど」
混乱する美花を見て、薫は苦笑する。
この狼がいったい何者で、どうしてここにいるのか、薫にもわからない。ただ、知っている。狼はこれからずっと薫のそばにいる。よき友であり、最高の相棒でありつづけるということを。
「じゃあ、行ってきます」
それだけ言い残して、薫は狼とともに地をけった。
目をあけると、泣きそうな美花の顔が見えた。
「……かあさ」
「よかった、気がついたのね」
美花は薫を抱きしめ、席を切ったように泣き出した。
「なんだか、夢を見てた気がする」
よく覚えてないけどいい夢だった、とぼうっとしたままつぶやいた。
薫は舞台の脇に寝かされていたようだった。周囲には大勢の人が心配そうに薫を見守っており、目が覚めて良かったと胸をなでおろしている。
「薫くんが目を覚ましたって!?」
人ごみをかきわけて現れたのは村中だった。
「だいじょうぶかい?」
目線を合わせ、薫の顔をのぞきこむ。
呆けた目つきでうなずくと、村中は重々しく告げた。
「村永・月音さんがさらわれた」
「……え? 月姉が?」
冷水を浴びせられたように、頭がさえた。
「ちょっとあなた!」
「村の男たちが追ってるけど、彼らじゃ助けられない」
美花の抗議を無視して、村中はつづけた。
「しばらく雨がつづいたから、地面がぬかるんでる。足跡がくっきり残ってるから、見失うことはない」
「……ありがとうございます」
礼を言って、薫は美花の腕から抜け出した。
「薫? どうするつもり?」
「助けに行くよ」
驚いて止めようとする美花を押しとどめたのは、村中だった。
「お母さん、ここは薫くんに任せて」
「なに言ってるの!? 薫は小学生なのよ!?」
「母さん!」
髪を振り乱して抗議する美花を、薫が一喝した。
「これはぼくにしかできないことだから、どうか行かせて。上手く説明できないけど、ぼくなら大丈夫。それに、一人じゃない」
そう言って、かたわらを見る。
オンッ
そこには、勇ましく尾を振る狼の姿があった。
「え? 犬? いつの間に」
「犬じゃなくて、狼なんだけど」
混乱する美花を見て、薫は苦笑する。
この狼がいったい何者で、どうしてここにいるのか、薫にもわからない。ただ、知っている。狼はこれからずっと薫のそばにいる。よき友であり、最高の相棒でありつづけるということを。
「じゃあ、行ってきます」
それだけ言い残して、薫は狼とともに地をけった。
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あとがき、のようなもの
読んでいただきありがとうございました。
小説第六章になります。
さあ、物語もいよいよ大詰めです。
タイトルは、若干五章のほうにずれてる感もありますが、ご勘弁を。
あとがき、のようなもの
読んでいただきありがとうございました。
小説第六章になります。
さあ、物語もいよいよ大詰めです。
タイトルは、若干五章のほうにずれてる感もありますが、ご勘弁を。
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