今後の掲載予定
【小説】薫と紗織の出会い
【設定】薫の戦闘スタイルや人間関係など補足
【設定】紗織のプロフィール
2013/11/26 (Tue)19:41
とある私立高校の校門前。
六月の雨が降る中、龍田薫は一人、傘を片手に立っていた。
薫が通う武蔵坂学園に比べれば小さいものの、立派な学校だった。他府県からの入学者も多いという、なかなかの名門として知られているらしい。
……そろそろ、下校時間かな。
何度目になるか、時計を確かめたころ、終礼のチャイムが鳴った。ほどなくして、帰宅する生徒たちが次々と校門をくぐって出てくる。
薫は小学6年生。雪のような白髪に、女の子と見まごう容姿の持ち主だ。当然、人目を引いてしかるべきであるが、生徒たちは誰一人として薫に目を向けない。《旅人の外套》といって、不思議な風を纏うことで人々から認識されなくなる異能である。
そうして、薫は注目を浴びることなく校門に目を向けていると、一人の少女と目が合った。
《旅人の外套》を発動しているにも関わらず、少女は薫に気づき、驚いた顔をする。
「また来たの?」
薫が駆け寄ると、少女は困ったように眉をひそめた。
彼女こそ、薫が待っていた少女である。名は田抜紗織といった。
「田抜さん、ぼくに剣術を教えてください」
「それなら、断ったでしょ」
頭を下げる薫にすげない返事をして、紗織は歩き出した。
「あ、待って」
薫は他の生徒たちにぶつからないよう一旦人の流れから離れ、紗織を追いかけた。
紗織は近所にある剣術道場の一人娘だった。女だてらに幼いころから剣一筋に稽古をつづけ、今ではかなりの腕である。
とある事件で、薫は紗織の剣術を目の当たりにし、是非とも弟子になりたいと望んだのだ、
薫が弟子入りを望んだのは、紗織の剣の精妙に触れたからだが、もうひとつ理由があった。
紗織は、武蔵坂に所属していないものの、灼滅者だったのである。異能について、ダークネスとの戦いについてよく知っている相手だからというのも、師に望んだ理由であった。
「どうか、お願いします」
「……あのねぇ」
人がばらけてきたところで再び駆け寄ると、紗織はうんざりした顔をした。
「だいたい、なんで私なの? 君の学校にも、剣の達者はいるでしょうに」
「それはそうですが……でも、ぼくは田抜さんの剣を学びたいんです」
「私だって修行中の身よ。第一、灼滅者としての力量は君の方が上じゃない。私が教えられることなんてないわ」
「剣士としては田抜さんの方が上ですよ。それに、技だけじゃない。剣の心を、道を学びたい!」
薫の熱弁に、紗織は困ったようにため息をついた。
これまでも、紗織がいろいろと理由をつけては弟子取りを拒んでいた。
なんでも、紗織とはもっと前、薫が闇堕ちしているときに会ったことがあるそうだ。薫は羅刹へと闇堕ちしていたときの記憶を失くしているため覚えていないが、その時の出来事が大きく影響しているのではないかと薫は考えていた。
今日こそは承知してもらおうと、薫がさらに言葉を紡ごうとした時だった。
「おお、紗織か」
不意に、割り込んでくる声があった。
年は40半ばといったところか。人のよさそうな顔をした男が近づいてきた。誰かと思えば、紗織の父である。
「独りで何をしゃべってるんだ?」
「え? 父さん、何言ってるの?」
困惑する紗織の隣で、薫がアッと声をもらした。
「そういえば《旅人の外套》」
《旅人の外套》は灼滅者には効果がない。紗織と普通に話していて失念していたが、紗織の父をはじめとして一般人には薫の姿は見えないのだ。
《旅人の外套》を解除して初めて薫に気づいた紗織の父は、目を丸くした。
「おや、これは失礼。お嬢ちゃん、紗織の知り合いかい?」
「…………」
「父さん、男の子よ」
普通に女の子と間違われ、情けなく眉を下げる薫を見て、紗織は苦笑した。
「なに!? ……あー、それは失礼」
紗織の父は気まずそうに謝罪して、思い出したように手を打った。
「そうだ、忘れるところだった。紗織、ちょっと用事で出かけることになった」
「ん、わかった。帰りは遅くなる?」
「たぶんな。一段落したら連絡するから」
手短に話して、紗織の父は足早に駆けて行った。
「えと、今のは田抜さんのお父さんですか」
「そうよ。一応、うちの道場主……弟子入りしたいなら、あっちに頼むのがすじなんじゃない?」
「……あー」
薫は、言われてみればそうかも、というような顔をする。
「お父さんは、灼滅者のこと知ってるんですか?」
「……まだ言ってない」
「だったら、やっぱり田抜さんでないと」
「それはお断り」
そっぽを向いて歩き出す紗織を、薫は慌てて追いかける。
二人の関係は、まだまだ始まったばかり。
六月の雨が降る中、龍田薫は一人、傘を片手に立っていた。
薫が通う武蔵坂学園に比べれば小さいものの、立派な学校だった。他府県からの入学者も多いという、なかなかの名門として知られているらしい。
……そろそろ、下校時間かな。
何度目になるか、時計を確かめたころ、終礼のチャイムが鳴った。ほどなくして、帰宅する生徒たちが次々と校門をくぐって出てくる。
薫は小学6年生。雪のような白髪に、女の子と見まごう容姿の持ち主だ。当然、人目を引いてしかるべきであるが、生徒たちは誰一人として薫に目を向けない。《旅人の外套》といって、不思議な風を纏うことで人々から認識されなくなる異能である。
そうして、薫は注目を浴びることなく校門に目を向けていると、一人の少女と目が合った。
《旅人の外套》を発動しているにも関わらず、少女は薫に気づき、驚いた顔をする。
「また来たの?」
薫が駆け寄ると、少女は困ったように眉をひそめた。
彼女こそ、薫が待っていた少女である。名は田抜紗織といった。
「田抜さん、ぼくに剣術を教えてください」
「それなら、断ったでしょ」
頭を下げる薫にすげない返事をして、紗織は歩き出した。
「あ、待って」
薫は他の生徒たちにぶつからないよう一旦人の流れから離れ、紗織を追いかけた。
紗織は近所にある剣術道場の一人娘だった。女だてらに幼いころから剣一筋に稽古をつづけ、今ではかなりの腕である。
とある事件で、薫は紗織の剣術を目の当たりにし、是非とも弟子になりたいと望んだのだ、
薫が弟子入りを望んだのは、紗織の剣の精妙に触れたからだが、もうひとつ理由があった。
紗織は、武蔵坂に所属していないものの、灼滅者だったのである。異能について、ダークネスとの戦いについてよく知っている相手だからというのも、師に望んだ理由であった。
「どうか、お願いします」
「……あのねぇ」
人がばらけてきたところで再び駆け寄ると、紗織はうんざりした顔をした。
「だいたい、なんで私なの? 君の学校にも、剣の達者はいるでしょうに」
「それはそうですが……でも、ぼくは田抜さんの剣を学びたいんです」
「私だって修行中の身よ。第一、灼滅者としての力量は君の方が上じゃない。私が教えられることなんてないわ」
「剣士としては田抜さんの方が上ですよ。それに、技だけじゃない。剣の心を、道を学びたい!」
薫の熱弁に、紗織は困ったようにため息をついた。
これまでも、紗織がいろいろと理由をつけては弟子取りを拒んでいた。
なんでも、紗織とはもっと前、薫が闇堕ちしているときに会ったことがあるそうだ。薫は羅刹へと闇堕ちしていたときの記憶を失くしているため覚えていないが、その時の出来事が大きく影響しているのではないかと薫は考えていた。
今日こそは承知してもらおうと、薫がさらに言葉を紡ごうとした時だった。
「おお、紗織か」
不意に、割り込んでくる声があった。
年は40半ばといったところか。人のよさそうな顔をした男が近づいてきた。誰かと思えば、紗織の父である。
「独りで何をしゃべってるんだ?」
「え? 父さん、何言ってるの?」
困惑する紗織の隣で、薫がアッと声をもらした。
「そういえば《旅人の外套》」
《旅人の外套》は灼滅者には効果がない。紗織と普通に話していて失念していたが、紗織の父をはじめとして一般人には薫の姿は見えないのだ。
《旅人の外套》を解除して初めて薫に気づいた紗織の父は、目を丸くした。
「おや、これは失礼。お嬢ちゃん、紗織の知り合いかい?」
「…………」
「父さん、男の子よ」
普通に女の子と間違われ、情けなく眉を下げる薫を見て、紗織は苦笑した。
「なに!? ……あー、それは失礼」
紗織の父は気まずそうに謝罪して、思い出したように手を打った。
「そうだ、忘れるところだった。紗織、ちょっと用事で出かけることになった」
「ん、わかった。帰りは遅くなる?」
「たぶんな。一段落したら連絡するから」
手短に話して、紗織の父は足早に駆けて行った。
「えと、今のは田抜さんのお父さんですか」
「そうよ。一応、うちの道場主……弟子入りしたいなら、あっちに頼むのがすじなんじゃない?」
「……あー」
薫は、言われてみればそうかも、というような顔をする。
「お父さんは、灼滅者のこと知ってるんですか?」
「……まだ言ってない」
「だったら、やっぱり田抜さんでないと」
「それはお断り」
そっぽを向いて歩き出す紗織を、薫は慌てて追いかける。
二人の関係は、まだまだ始まったばかり。
とりあえず、薫と紗織の初期の関係を書いてみましたが……なんか荒くてすいません。
ここから、薫と紗織の出会いとか、師弟関係を結ぶシーンとか書きたいなぁと思ってます。
ところで、紗織は薫の5才年上って設定を活かそうと思ったら、薫が小学6年生の今年度中にキャラ作成しないと、武蔵坂に入学できないことに気づいてしまいました。(高2以上のキャラ作成ができないため)
さて……どうしようかなぁ。どうせだから、紗織が武蔵坂に入るきっかけを偽シナにしてみても面白いかも? ……しんどそうだなぁ。
ここから、薫と紗織の出会いとか、師弟関係を結ぶシーンとか書きたいなぁと思ってます。
ところで、紗織は薫の5才年上って設定を活かそうと思ったら、薫が小学6年生の今年度中にキャラ作成しないと、武蔵坂に入学できないことに気づいてしまいました。(高2以上のキャラ作成ができないため)
さて……どうしようかなぁ。どうせだから、紗織が武蔵坂に入るきっかけを偽シナにしてみても面白いかも? ……しんどそうだなぁ。
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