今後の掲載予定
【小説】薫と紗織の出会い
【設定】薫の戦闘スタイルや人間関係など補足
【設定】紗織のプロフィール
2014/07/16 (Wed)22:07
「ん、やっと終わった」
校門をくぐった薫は空を見上げてうんと伸びをして、ランドセルを背負い直した。
龍田・薫は小学6年生、あと数日で12歳になる。小柄な上に女の子と見まごう可愛らしい顔つきの持主だが、それほど幼く見えないのは静かに大人びた光を宿す藍色の瞳のためだろうか。
今日は週末で、学校は休みだったが、薫は補習を受けるためにひとり登校していた。
薫の成績が悪いため、というわけではなく――むしろ、成績優秀と言って差し支えないほどである――薫がやむおえぬ理由で授業を欠席していたためだ。
一月ほど前、ダークネスとの戦いで薫は闇堕ちして行方をくらませていた。それから、仲間たちに救出されるまでの間は当然授業を受けることもできず、その遅れを取り戻すための補修だった。
その補修も今日で終わり。来たる中間テストもばっちりである。
帰宅しようと駅へ向かう薫だが、後ろから引きとめる声があった。
「龍田、ちょっと待て」
「ん、神崎さん? なんです?」
振り返って見れば、同じ井の頭キャンパスに通っている神崎・ヤマト(中学生エクスブレイン・dn0002)であった。
「俺の瞳に未来が映った。龍田よ、お前の行く手に邪悪な影が立ちふさがる!」
「え、と……?」
ある意味では年相応と言えなくもない、ヤマトの独特の言い回しをどう解釈したものか、薫は首をかしげる。
「あー、つまりだ。未来予測があった」
「……!」
途端、薫の顔が引き締まった。
「ついさっき未来を視たばかりで、資料のひとつも用意できていないんだけどな。龍田、このあと予定があるだろ?」
「えっと、これから、幼馴染に会いに行くことになってるんですけど……」
そう答える薫には、不安そうな表情が浮かんでいた。話の流れに、不穏なものを感じたのである。
「お前はそこでダークネスと遭遇するだろう。場合によっては、その幼馴染が事件に巻き込まれる可能性もある」
だが心配するな、とヤマトはポーズを決めてつづけた。
「俺の脳に秘められた異形の領域、全能計算域(エクスマトリックス)が生存経路を導き出す!」
「は、えっと……よろしくお願いします?」
いまひとつ、ヤマトの勢いについていけていない薫だが、ヤマトは特に気に留めた様子もなく、自分に酔っているような、いつもの調子である。
「未来予測によれば、龍田がひとりで現場に向かうのがベストのようだ。学園からの増援はないものと思ってくれ。……俺は引き続き解析を行う。新たに視えたことがあれば連絡するから、アドレスを交換しておくぞ」
「はい、わかりました。ぼくもむこうで何か分かったら連絡しますね」
薫はヤマトと連絡先を交換し、ふたつ三つ言葉を交わしてから別れた。
はやる心を抑えながら、駅のある方へ歩いて行く薫の背を、ヤマトは見つめていたが、すぐにきびすを返して校舎へもどって行く。
校門をくぐった薫は空を見上げてうんと伸びをして、ランドセルを背負い直した。
龍田・薫は小学6年生、あと数日で12歳になる。小柄な上に女の子と見まごう可愛らしい顔つきの持主だが、それほど幼く見えないのは静かに大人びた光を宿す藍色の瞳のためだろうか。
今日は週末で、学校は休みだったが、薫は補習を受けるためにひとり登校していた。
薫の成績が悪いため、というわけではなく――むしろ、成績優秀と言って差し支えないほどである――薫がやむおえぬ理由で授業を欠席していたためだ。
一月ほど前、ダークネスとの戦いで薫は闇堕ちして行方をくらませていた。それから、仲間たちに救出されるまでの間は当然授業を受けることもできず、その遅れを取り戻すための補修だった。
その補修も今日で終わり。来たる中間テストもばっちりである。
帰宅しようと駅へ向かう薫だが、後ろから引きとめる声があった。
「龍田、ちょっと待て」
「ん、神崎さん? なんです?」
振り返って見れば、同じ井の頭キャンパスに通っている神崎・ヤマト(中学生エクスブレイン・dn0002)であった。
「俺の瞳に未来が映った。龍田よ、お前の行く手に邪悪な影が立ちふさがる!」
「え、と……?」
ある意味では年相応と言えなくもない、ヤマトの独特の言い回しをどう解釈したものか、薫は首をかしげる。
「あー、つまりだ。未来予測があった」
「……!」
途端、薫の顔が引き締まった。
「ついさっき未来を視たばかりで、資料のひとつも用意できていないんだけどな。龍田、このあと予定があるだろ?」
「えっと、これから、幼馴染に会いに行くことになってるんですけど……」
そう答える薫には、不安そうな表情が浮かんでいた。話の流れに、不穏なものを感じたのである。
「お前はそこでダークネスと遭遇するだろう。場合によっては、その幼馴染が事件に巻き込まれる可能性もある」
だが心配するな、とヤマトはポーズを決めてつづけた。
「俺の脳に秘められた異形の領域、全能計算域(エクスマトリックス)が生存経路を導き出す!」
「は、えっと……よろしくお願いします?」
いまひとつ、ヤマトの勢いについていけていない薫だが、ヤマトは特に気に留めた様子もなく、自分に酔っているような、いつもの調子である。
「未来予測によれば、龍田がひとりで現場に向かうのがベストのようだ。学園からの増援はないものと思ってくれ。……俺は引き続き解析を行う。新たに視えたことがあれば連絡するから、アドレスを交換しておくぞ」
「はい、わかりました。ぼくもむこうで何か分かったら連絡しますね」
薫はヤマトと連絡先を交換し、ふたつ三つ言葉を交わしてから別れた。
はやる心を抑えながら、駅のある方へ歩いて行く薫の背を、ヤマトは見つめていたが、すぐにきびすを返して校舎へもどって行く。
第3章、というよりは幕間みたいな感じになりました。
薫の顔出しってだけになってしまった感が‥‥
さて、これでオープニングは終わり。
次回から、TRPGでいうところのミドルフェイズに突入です。
ここからはちゃっちゃっとハイテンポで行きたいなーと思います。
更新も早めにできたらいいな。
薫の顔出しってだけになってしまった感が‥‥
さて、これでオープニングは終わり。
次回から、TRPGでいうところのミドルフェイズに突入です。
ここからはちゃっちゃっとハイテンポで行きたいなーと思います。
更新も早めにできたらいいな。
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